本blogでは、DXの本質を理解して頂き、中小企業が取り組む為のヒントをシリーズでお話します。自社のDX化の参考にして頂ければと思います。
第8回:DXではデジタル技術を注入する
第7回では、トップダウンのIT導入プロセスをご説明しましたが、ではDXはどのようなプロセスでITを導入するのでしょうか?先の経産省のDX定義を思い出してみます。
<経産省のDX定義:抜粋>
「・・・変わった顧客ニーズに対応する為、データとデジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデルを変革する・・・」
これを見ると、「製品やサービス、ビジネスモデルを変革」するという経営戦略に「データとデジタル技術」を活用すると言っています。実は、これがDXの本質なのです。
先に、エリック・ストルターマン教授が「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と提唱した事が、DXの根源だと説明しました。ご存じのとおり、ITは秒針分歩と呼ばれるくらいその技術は、超高速で進歩しています。その進歩したITを使えば、生活だけでなくビジネスも良い方向に変化させるでしょう。
例えば、AIを活用すれば店舗の来店予測ができ、材料仕入れや人員シフトが効率よく作成できます。また、製造業が画像認識にAIを活用すれば、不良品判別の速度と精度が大きく向上します。さらにIotとAIを併用すれば、工場の機械の稼働状況から予め故障を予測する保全予防も可能となり、既に実用化されています。
つまり、数年前と比べてIT(デジタル技術)で出来ることが増えており、将来的にはさらにITで出来る事が増えるでしょう。
先にIT経営では経営戦略の策定時にIT活用を前提としないと説明しました。しかし、現在ではITが進化してできることが増えた為、予めITつまりデジタル技術の活用を前提とした経営戦略づくりが可能となっているのです。
ちなみに、知らない土地に自動車で行く時、必ずカーナビを使います。昔は、紙の地図を見ながら運転し、道が分からない時は人に聞いてやっと目的地に到着していました。しかし現在では知らない道を走るときは、カーナビの利用を前提で運転します。
これと同じように、デジタル技術が進展した現在では、それを活用して経営課題を解決する戦略が作れるようになったのです。
つまり、従来のIT経営プロセスの経営戦略策定工程に、「デジタル技術を注入」するのです。そしてこれがDXの本質なのです。
-第9回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
兵庫県立大学 客員教授 経営情報システム論担当
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DXは従来のトップダウンのIT経営ですが、その違いを明らかにする為に、まずIT経営のプロセスをご紹介します。
上写真のようにIT経営では、まず経営外部環境の変化を察知し、それによる経営課題を明らかにします。そして、その課題を解決する為の経営戦略を策定し、会社の業務を変える業務改革の計画と、それを支援するIT化企画を作成します。そして、業務改革とIT導入を並行的に実行します。簡単に説明しましたが、実際は各工程の中に詳細なプロセスがあります。そして、ここでのポイントは経営戦略を策定する時に、IT活用を前提としてない事です。
つまり、経営課題を解決する為に、何が必要で、何を変える必要があるか?と言う視点で戦略を考えます。例えば、競合店が出現して、顧客がそちらに流れて売上が低下した場合、いきなりIT活用を考えるのではなく、競合に負けない商品やサービスは何か?接客方法や広告宣伝をどのように変えればいいか?と言う視点で考えます。考えた結果、新しい商品が出来たなら、それをSNSでどうプロモーションするかを考えて実行します。いきなりIT活用を考えるのは順次が逆なのです。
-第8回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
兵庫県立大学 客員教授 経営情報システム論担当
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第6回:経済産業省のDX定義
では、DXはどちらのタイプになるでしょうか?先の経産省のDX推進ガイドラインでは、DXを上の写真のように定義しています。
ビジネス環境の変化で変わった顧客ニーズに対応して、製品やサービス、ビジネスモデルを変えるのは、まさに「経営戦略」です。
この経営戦略を実現する為に、データやデジタル技術を活用し、さらに企業文化や風土まで変えろと言っています。そして、これが
DXと経産省は定義しています。つまり、DXは従来の業務改善の為のボトムアップのIT活用ではなく、経営課題を解決する為のトップダウン型のIT導入になる訳です。
では、DXは従来のトップダウン型の(IT経営)と何が違うのでしょうか?実は、これを明らかにする事が、DXの本質を理解する上で非常に重要になります。
-第7回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
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DXと同じような言葉にIT活用があります。また、IT経営という言葉もあります。これらは何がどう違うのでしょうか?DXの正体を明らかにする為に、まず従来のIT活用やIT経営について復習したいと思います。
従来のIT導入には、「ボトムアップ型」と「トップダウン型」の2つがありました。前者は現場の問題・課題を解決する為にITを活用する方法です。テレワーク環境がないのでノートPCを社員に配る、手で入力していた効率の悪い業務をRPAソフトで自動化するなどはボトムアップ型になり、主に業務効率化の為に導入されていました。中小企業ではこのタイプのIT導入が多くなっています(上図左)。
一方、トップダウン型は、経営課題を解決する為にIT導入を図ります。例えば、コロナでお客様が来なくなり、売上が激減した飲食店がEC(ネット販売)に取り組む。或いは、受注生産の製造業が売上を伸ばすために、見込生産にも取り組む。その為に、新たな生産管理システムを導入するなどは、売上・利益を向上させるIT導入であり、トップダウン型になります(上図右)。どちらが良い悪いではなく、従来このような2つのIT導入がありました。そして、ボトムアップ型をIT活用、トップダウン型をIT経営と呼んでいました。
-第6回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
兵庫県立大学 客員教授 経営情報システム論担当
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そのDX推進ガイドラインですが、経産省が作成した背景にはデジタル技術を活用して業界を破壊しているGAFAの存在があります。業界破壊と言うと大袈裟に聞こえますが、例えば、うちの大学生の息子に「買い物行こか」と言うと「そんなんアマゾンで買ったらええやん」と言います。つまり、アマゾンは小売業を破壊していると言えます。また10年程前は新聞や雑誌に広告を出しましたが、今ではインターネット広告やSNS広告の方が、費用対効果が高いケースが多くあります。これは広告業界の破壊と言えるでしょう。
このように、日本の大企業が何もしないで指をくわえていると、GAFAと言うデジタル企業にどんどん国内業界が破壊され、2025年には12兆円の経済損失が発生する、「2025年の崖」があると警鐘をならし、日本の大企業のDX化を促進しているのです。
確かに経産省の危機感は最もだと思います。しかし、DX推進ガイドラインは大企業への警鐘であり中小企業等が取り組む必要があるのかわかりません。と言うよりも、明らかに大企業に対してのDX推進ガイドラインになっています。では、中小企業等はDXに取り組む必要がないのか。また、取り組む必要があるなら、それはどうしてなのか? それは次節以降、DXの正体を明らかにしながら解説していきます。
-第5回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
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さて、現在DXが注目されていますが、元々誰がいいだしたのでしょうか?DXの根源は、2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と、その概念を提唱したことが始まりです。2004年頃の日本のIT事情は、パソコンの性能が上がりインターネットの回線も電話回線からADSLが主流になり、電子メールやホームページが当たり前のように使えるようになりました。
また、ネットショップも多く登場し、EC(electronic Commerce:電子商取引)という言葉も一般的になりました。
当時はインターネットの普及で、画期的にITで生活やビジネスが変わりましたが、今ではさらにAI・Iot、AR・VRやスマートフォンが生活やビジネスに浸透し、またメタバースやNFTなどWeb3.0という新しい世界観も登場して、当時よりも生活やビジネスがより良くなっているのは確かです。ストルターマン教授が概念を提唱した後、DXという言葉はあまり注目されませんでしたが、2019年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表した事をきっかけに、日本でDXが注目を集めることになります。
-第4回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
兵庫県立大学 客員教授 経営情報システム論担当
本blogでは、DXの本質を理解して頂き、中小企業が取り組む為のヒントをシリーズでお話します。自社のDX化の参考にして頂ければと思います。
多くの方は、誰がDXを言い出したの?、IT活用とどう違うの?、中小企業DXに取り組む意義があるの?などの疑問があるでしょう。つまり、DXの正体が分からないので、色々と疑問が生まれると思います。
私が小学生の時に「巨人の星」と言うスポーツアニメがありました。簡単にストーリーを言いますと、主人公の星飛雄馬は、夢にまで見た巨人軍に入り剛速球を投げて活躍します。しかし、体が小さいため球質が軽くポンポンとホームランを打たれます。悩んだ末に飛雄馬は、大特訓をして大リーグボールと言う魔球を生み出します。特に大リーグボール2号は「消える魔球」と言われ、ホームベース上で球が消えるのです。この魔球で飛雄馬は連戦連勝!飛雄馬のライバル達は、その正体を見破ろうと数々の取り組みを行いましたが、中々見破れません。しかし、ついにその正体が見破られました。正体を見破られた大リーグボール2号は、もはやライバル達の敵でなくなりました。
DXも同じで、その正体が分からないと、どう取り組んでいいかわかりません。その為、この後、DXとは何なのか?DXに成功するとはどういう事なのか?という疑問にお答えしていきます。こうご期待!
-第3回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
兵庫県立大学 客員教授 経営情報システム論担当
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本blogでは、DXの本質を理解して頂き、中小企業が取り組む為のヒントをシリーズでお話します。自社のDX化の参考にして頂ければと思います。
さて、いきなりですが、「DXに取り組む」とは、どういう事でしょうか?現在DXでは、様々な情報が飛び交っています。例えば、「テレワーク環境を作るのがDXだ!」とか、「業務の自動化がDXだ!」、いやいや「DXを実現する為には人材の育成が必要だ!」、「DXは従来のIT活用と違い企業変革が必要だ!」など、色々な立場の方がDXについて言われています。これらは間違いではないのですが、これからDXに取り組もうと考えている中小企業からすると、「いったい何がDXなの?」と訳が分からなくなるでしょう。
ここでは、私の知識と経験からDXの正体を暴き、中小企業の取り組み方にお話をしていきます。
-第2回に続く-
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
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さて、いきなりですが、「DXに取り組む」とは、どういう事でしょうか?現在DXが注目されていますが、DXは様々な情報が飛び交っています。例えば、「テレワーク環境を作るのがDXだ!」とか、「業務の自動化がDXだ!」、いやいや「DXを実現する為には人材の育成が必要だ!」、「DXは従来のIT活用と違い企業変革が必要だ!」など、色々な立場の方がDXについて言われています。これらは間違いではないのですが、これからDXに取り組もうと考えている中小企業からすると、「いったい何がDXなの?」と訳が分からなくなるでしょう。
実は、私も最初はDXについて、色々な情報が飛び交っており、「DXって何者?」という感じでDXの正体が分かりませんでした。
その為、経産省の「DX推進ガイドライン」を精査し、他の文献調査やITベンダーのホワイトペーパー等も多く読みました。そして、これらの情報と私の23年間のIT経営コンサルの経験をもとに、ついにDXの正体を掴み中小企業の実践も指導できるようになりました。
そこで、今までの経験や知識を集約した、「DXの本質と中小企業の取り組み方」という冊子を制作しました。本書では、DXの正体を暴き中小企業の取り組み方にお話をしていきます。DX化に興味ある、DXに取り組みたいという方は、ぜひご覧ください。簡単なアンケートに回答して頂ければ、PDF版は無料で差し上げます。以下のリンクからダウンロードしてください。
A5版、全60ページ、オールカラー
執筆者紹介
はじめに
第1章 DXの正体を見破る ・・・・・・・1
1-1.DXが注目される訳 ・・・・・・・2
1.DXの源流 ・・・・・・・2
2.DX推進ガイドライン ・・・・・・・・3
1-2.DXの正体とは ・・・・・・・・4
1.IT活用とDXはどう違うの? ・・・・・・・・4
2.DXはどのタイプ? ・・・・・・・・5
3.従来のIT経営のプロセス ・・・・・・・・7
4.デジタル技術を注入する ・・・・・・・・8
5.企業変革を起こす ・・・・・・・11
6.ゴールに向かって進め! ・・・・・・・14
1-3.DX化に成功した企業
1.中小製造業A社の事例 ・・・・・・・15
2.中小製造販売業B社の事例 ・・・・・・・16
3.小規模小売業C社の事例 ・・・・・・・17
4.EC小売業D社の事例 ・・・・・・・18
5.DX化の条件 ・・・・・・・19
第2章 DXへの取り組み方
2-1.ゴールインするまでのステップについて ・・・23
1.ステップ1:デジタル化(未活用) ・・・・24
2.ステップ2:デジタル化(IT活用) ・・・・24
3.ステップ3:デジタル化(IT経営) ・・・・25
4.ステップ4:デジタル化(DX化) ・・・・25
2-2.DX化の取り組み方
1.ステップ1の取り組み方 ・・・・・28
①RPAソフト ・・・・・28
②ノーコードソフト ・・・・・29
③AIソフト ・・・・・31
④Iot(Internet of Things) ・・・・・32
⑤メタバース ・・・・・34
⑥ECサイト(Electronic Commerce) ・・・・・35
⑦ホームページ ・・・・・36
⑧各種SNSの活用法 ・・・・・37
⑨各種業務管理ソフト ・・・・・39
2.ステップ2の取り組み方 ・・・・・41
3.ステップ3の取り組み方 ・・・・・44
2-3.DX化人材の確保と育成 ・・・・・46
さいごに
【コラム】
・店長さんの小さな戦略
・メタバースでお店を開店する
・お父さんのDX戦略
・真の生産向上と金箔アイス
・信長の戦略
・概念実証と大学受験
中小企業のDXコンサルタント 坂田岳史
中小企業診断士、ITコーディネータ、ITストラテジスト
有限会社ダイコンサルティング 代表取締役
京都府中小企業診断協会 会長
兵庫県立大学 客員教授 経営情報システム論担当
京都を中心に、中小企業のIT活用やDXを支援しています。
DXに取り組みたい方は、ぜひお声かけください。
昭和レトロな商品をネット販売しています。これらの商品は同店の倉庫に眠っていたものだそうです。 それを集めて販売しています。アルマイトの弁当箱やジャーなど、私が子供の事に使っていたものもあります。
興味のある方は、ぜひアクセスてみてください。
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中小企業・中小企業支援者向け、Web版・AIセミナー 開校中です!】
こんにちは、中小企業AI普及ネットワークの坂田岳史です。