中小企業のAI活用 第6章 AIってどう使うの?~AIの作り方・使い方~

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第1章でAIを構造化しました。ディープラーニングなどのAI基礎技術があり、それを活用して画像認識というAI機能が実現できます。さらに、この機能などを使う事で自動運転というAIアプリケーションが実現できるのです。このアプリケーションの例として第2章では身近なAIとしてスマートスピーカーやAI家電の事例をご紹介し、第3章ではビジネスで活用しているAI事もご紹介しました。AIを使うというのは、ディープラーニングや機械学習を行う事でなく、そのAI機能を使ったAIアプリケーションを使うとご理解ください。
 では、AIアプリケーションで何ができるでしょうか?現在のAIでは、大きく次の4つ事ができます。

①識別する:画像や動画などをAIで認識する
 人の顔、動物などの画像をAIが認識し分類する。製造業で加工品の傷などをAIが認識し品質管理に活用している例があります。

②会話する:自然言語対話機能を使いチャットボットなどで会話する
 音声認識やテキストの文字を認識し会話する。既にコールセンターなどの問い合わせで活用されています。

③予測する:過去のデータで学習し、予測データから未来を予測する
 過去の気温やイベント有無からアイスクリームの売上を予測する。販売や来店客数の需要予測として既に飲食店や小売店でも活用されています。中小企業の生産性向上等で、最も活用が期待されるAIアプリケーション分野です。

④制御する:自動車の自動運転やロボット制御などを実行する
 自動車の自動運転は既に実用化されています。またAI家電でも自動走行、温度・湿度調
整などで活躍しています。AIが何かを制御するアプリケーションです。

 これらは、AIでできる4つの分野ですが、ではどうやってAIを使えば(或は作る)いいでしょうか。それには、次の3つの方法があります。

①Cognitive Services(コブニティブサービス)を使う
 Cognitiveとは、認識、認知という意味で、AIが機械学習等により自らが画像や動画、音声を認識・学習するシステムです。IBM-Watson、マイクロソフトCognitive Services、Google Cloud Platformなどがあります。これらは有料サービスですが、一部無料で使えるサービスもあります。無料AIツールという言葉をよく聞きますが、それはこれらのサービスを指します。具体的には、音声認識、画像認識、会話、発見(検索)など比較的簡単にできます。従来のITで言うと、googleカレンダーやメールを使う、無料のグループウェアを使う事に似ています。

②Pythonなどのプログラム言語を使い自分でAIを使う
 Pythonと言う言葉も最近はよく耳にします。これは、BASICやC言語などと同じプログラム言語です。ちょっとだけ技術的な話をすると、ソフトウェアには、科学技術計算をするソフトもあれば、事務処理をするソフトもあります。また機械制御をするソフトもあればゲームを作るソフトもあります。つまり、餅は餅屋に任せろという事で、それぞれの分野ごとにソフトウェアがあり、その分野のソフトを作る専門のプログラム言語があるのです。
この分類からすると、PythonはAIを作る為の専用のプログラム言語と言っていいでしょう。このPythonを使って自分でAIを作り、使う事もできるのです。ただ、プログラムの知識や経験が少し必要になるので、これらの経験がまったく無い方には難しいかもしれません。従来のITで言うと、MS-Accessやファイルメーカーでシステムを作る事に似ています。

③ITベンダーに依頼して開発してもらう
 最後は、従来の業務システム(販売管理システムなど)と同じく、専門のITベンダーに開発を依頼する方法です。前述の2つの方法に比べるとコストがかかりますが、自社のニーズにあったAIシステムが導入できます。ただし、AIシステムは従来の業務システムと特性が違う為、注意する点がいくつかあります。

 このようにAIを作り、使う方法は大きく3つありますが、中小企業が自社の経営・業務的課題を解決するには、③のITベンダーに委託するのが最も良い選択肢です。詳細は別章でお話ししますが、まずはこのような方法がある事をご理解ください。

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