中小企業のAI活用 第4章 機械学習とは何か?

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AIではよく「機械学習」という言葉を耳にします。なんとなく機械(コンピュータ)が学習して、何か答えを出してくれるのかな?くらいは誰でも想像できるでしょうが、具体的に何ができて、どういう仕組みになっているか分からない方も多いでしょう。そこで、今回は機械学習についてお話しします。

 京都市には観光客の方を案内する観光ガイドという方がおられます。ガイドさんに聞けば、金閣寺や銀閣寺など観光スポットへの行き方はもちろん、紅葉の季節には「人が少なく、ゆっくりと紅葉が楽しめるスポットを教えてください」と聞くと、ガイドさんは「東福寺や大原三千院は、紅葉が美しいスポットですが人も多いですね」、「一方、入場料が200円必要ですが京都府立植物園は、紅葉も綺麗ですし人も少なく園内にレストランもあるのでゆっくりと楽しめますよ!」と特ダネ情報を教えてくれるでしょう。ガイドさんは他にも特ダネ情報をたくさん持っていますが、これは一朝一夕に見に着いたものではありません。京都観光について勉強したり、実際に紅葉スポットに足を運ぶ努力をして、情報を蓄積しているのです。

 実はAIの機械学習もガイドさんと同じで、AI活用の目的に応じて予め必要なデータを揃え、それをAIが学習します。その結果、様々な回答ができるのです。よく使われる機械学習の例にアイスクリーム屋さんの売上予測があります。アイスクリーム屋さんが、明日の売れ行きを予測する時、どのような情報が必要かというと、「明日の天気と気温」、「明日の店の前の人通り数」、「近くでのイベント開催の有無」などが必要でしょう。恐らく、気温が高く、人通りが多く、イベントが開催されれば売上も上がりそうです。機械学習ではこのような過去の情報を数年分使い学習して、明日の売上予測をするのです。

ちなみに、過去の情報で、気温が32度、人通りが1日1000人、近くでコンサートがあった場合、アイスクリームが100個売れたという情報があったとすると、この100個売れたという情報が教師データ(正解のデータ)になるのです。つまり、「気温・人通り・イベント有無→売上個数(教師データ)」というデータのセットで機械学習をするのです。これを、教師付き機械学習といいます。技術的な仕組みはここでは触れませんが、機械学習とはこのようなデータを使い予め学習モデルを創り上げ、これを利用して予測などを行う訳です。

尚、教師付き機械学習の他に、教師無し機械学習があります。これは、アイスクリームの売上のように正解がなく、特徴をAIが自ら抽出し分類する方法です。例えば、ガイドさんに「清水寺では、欧米人とアジア系外国人の方とどちらが多いですか?」と聞くと、「最近はアジア系の方が多いですね」と答えたとします。もちろん、ガイドさんは欧米人とアジア系の方の顔や行動の特徴を分かっているから回答できたのです。AIにおける教師無し機械学習も同じで、AIが自ら顔や行動の特徴を抽出し、アジア系の方が多いと回答するのです。AIって賢いですね!

ちなみに、私が代表を務める、「中小企業AI普及ネットワーク」が開発した、中小製造業向けAIシステム「不良品バスター<愛>」は、過去に不良品が発生した条件(材質、機械、担当者、納期、難易度など)を基に、予め不良発生を予測します。これは、教師付き機械学習を行っています。この他にも、機械学習を活用したAIが企業で活用されています。ただ、中小企業が活用する場合、いくつかの課題があります。それは後の章でお話しします。

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