中小企業のAI活用 第7章  無料で使えるCognitive Services

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 第6章でお話ししましたが、AIを利用する方法の1つに、無料で使えるCognitive Services
と言う物があります。Cognitiveとは、認識、認知という意味で、AIが機械学習等により自らが画像や動画、音声を認識・学習するシステムです。代表的なものに、IBM-Watson、マイクロソフトCognitive Services、Google Cloud Platformなどがあります。
 これらは無料で使える機能がありますが、継続的に利用したり、より高度な機能を使う場合は有料になりますが、無料でもかなりのAI機能を使う事ができます。この章では、全てのCognitive Servicesをご紹介できませんので、IBM-Watsonを中心にお話しします。
尚、IBM-Watsonの使い方の詳細は、専門の書籍等をご参考ください。

1.主なAI機能
 Blog上部のイメージはWatsonにログインした後の、無料で使えるAIカテゴリ一覧です。
全てを詳細にご説明できませんので、主なものについてお話しします。
まず、最も分かり易いのは、「Speech to Text」と「Text to Speech」でしょう。前者は音声ファイルを認識し音声をテキストに変換します。後者はその逆です。Speech to Textは録音された会議内容を、文章にするに使う事ができます。また、「Natural Language Understanding」は、テキストを分析し評判や感情、関係性などのデータを抽出する事ができます。会議の録音データをテキストに変換すれば、部長が怒っている様子が分かるでしょうね。「Language Translator」は、その名の通り翻訳ですね。文章やアプリ、Webサイトの翻訳までできます。多言語のチャットボットにも利用可能です。「ディスカバリー」は文章検索です。文章を保存する時にAIが内容を理解して、自動的に特徴を保存します。
ですので、後から検索する為に人がキーワードを付ける必要がありません。中小企業では見積の保存・検索に利用する事ができます。他にも機能がありますので、興味ある方は
IBM-Watsonを使ってみてください。
 尚、マイクロソフトCognitive Services、Google Cloud Platformでも、ほぼ同じような機能があります。ただ、学習データが違う為、例えばSpeech to Text(音声を文章に変換)の場合、大阪地下鉄の堺筋線(さかいすじせん)を、サカイマッスルと訳した話は有名で特に固有名詞が、正確に変換できるか(漢字にできるか)がポイントの様です。いくつかのAI変換機能を使い、最も自社に適したものを使う事がいいでしょう。

2.AI機能の使い方
 さて、IBM-Watsonの主な機能をご紹介しました。では、このようなAI機能は具体的にどのように使えばいいのでしょうか?第10章でAPIの話をしましたが、IBM-Watsonでも専用のAPIが準備されており、それを使います。以下がそのAPIです。
-------------------------------------------------------------------
curl -X POST \
-u "apikey:{apikey}" \
--header "Content-Type: audio/flac" \
--data-binary @{path_to_file}audio-file.flac \
"{url}/v1/recognize"
-------------------------------------------------------------------
そして、下の図がAPIを実行する画面です。ここでは、Windowsのcmdを使ってDOS画面からcurlコマンドを使ってAI機能を使っています。と言っても、初めての方はまるで暗号みたいで、何が何やら分からないですね。興味のある方は専門書を読んでAPIを使ったAI利用にチャレンジして頂いていいですが、中小企業の方がこれを使うのは困難です。

spt.jpg

そこで登場するのが、第10章でお話ししたUI(ユーザーインターフェース)です。UIはAPIをブラックボックス化する為、APIなんて難しい事を知らなくてもAIが利用できるのです。ちなみに、iphoneの音声入力機能を使えば、メールなども音声で入力する事ができます(かなり精度が高い)。これは、まさにiphoneがUIになっている例です。中小企業がUIを使いAI機能を活用する事ができますが、このUIも簡単に作れずAIベンダーに依頼する事になります。現在、中小企業向けのAIベンダーは少なく、実質的には中小企業がAIを業務で活用するのは簡単でありません。しかし、近い将来中小企業でもAIが利用できる環境になると思います。IBM-WatsonのようなCognitive Servicesを使い、AIに慣れ親しんでおくことが必要です。


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