中小企業のAI活用 第12章 AI活用の課題と対応

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こんにちは、IT経営コンサルタントの坂田岳史です。

 中小企業がAIを活用する場合、Cognitive Servicesを使う方法やPythonを使う方法、或いはAIベンダーに開発委託する方法があります。これらの方法で、特に中小企業が今後AIを活用し成果を上げる為には、いくつかの課題があります。ここでは、それらの課題と対応方法についてお話しします。

1.AI活用のイメージを合わせる
AIと聞くと、「鉄腕アトムみたいなもの」とイメージする方もいれば、第3章で紹介した「きゅうりの選別」をイメージする方もいます。中小企業の社長さんが前者をイメージすると、AIを理解してもらうまで時間がかかりますが、後者をイメージすると話も早く進みます。特に中小企業では、「AIは大企業がやるもので、中小ではね・・・・」とか、「AIなんてまだまだ先の事だね」という感じで、AIを具体的にイメージできない、或いは中小企業ではまだまだ先の事と考えている社長さんが多くおられます。実は、これが中小企業でAIが普及しない大きな原因と考えています。その為には、中小企業の活用事例などを多く創り、公開してAI活用のイメージを掴んでもらう事が重要です。

2.AIで出来る事とできない事を明確化する
 AIがイメージできたとしても、AIで出来る事とできない事が分かってないと、自社の課題解決に使えません。ただ、ITも同じですが、ITで出来ない事はほとんどありません。これは費用と時間と難易度の問題なのです。3カ月で500万円で品質が高い生産性管理システムを独自開発して欲しいと言うと、これは難しくなります。逆に、費用と時間が充分にあればできるでしょう。AI同じです。ただ、ドラえもんを作って欲しいと言われても、現状では技術的に困難です(当然ですが)。現在では第6章で説明した、識別、会話、予測、制御については実現可能です。これらのAIで出来る事をしっかり理解する事が重要です。
その為には、企業の業務で活用できるAIアプリケーション集を作り、広く中小企業の方に知って頂く事が必要となります。尚、現在、SME-AIPNでは、このような事例集を作っています。でき次第、公開させて頂きます。

3.AI支援人材の不足
 中小企業の経営・業務改革や改善を支援する人材・組織として、中小企業診断士やITコーディネータがおり、また、支援機関として各地の商工会議所や中小企業支援センターが存在します。しかし、まだまだAIに関する支援スキルが少ないと感じます。実は、31年2月に全国の中小企業診断士の方を対象に、AI支援のスキルアップ講座を京都で開催させて頂きました。20名以上の方が参加され、中には企業内でAIの研究をされている専門家の方もおられましたが、多くはこれからAIについて勉強し知識を得て、中小企業支援に役立てようと考えておられました。今後、このような方が中心となってAI活用支援の輪が広がって行くでしょうが、まだまだAI支援人材や機関が不足しています。

4.中小企業向けAIベンダーの不足
 AI支援人材と同じく、AIシステムを開発するベンダーにも課題があります。現在、AIシステムを構築するベンダーが存在します。ただ、その多くは大手ベンダーであり顧客も中堅から大企業が中心となっています。その為、AIシステム構築にも費用がかかり、中々中小企業が利用する事が難しくなっています。従来のITである生産管理システムなどは、大企業から中小企業まで導入できる幅が広かったのですが、AIの場合は中堅以上の企業向けに偏っています。中小のITベンダーが急にAIシステムに対応する事は、人材面等で難しいと思いますが、中小企業向けのAIシステムを提供できるITベンダーの育成も大きな課題と考えています。尚、SME-AIPNでは、そのような課題を解決する為、微力ですが中小企業向けのAIシステム開発やコンサルティングを提供しています。私たちに続くITベンダーの登場を心待ちにしています。

5.中小企業向けAI活用政策の充実
 数年前よりIotが注目され政府の政策もIot活用に関しては、システム開発やそれを利用する企業に対する補助金など出しています。Iotでは、センサーやデータ収集の仕組み、収集されたデータ分析などが必要ですが、これらは既存のITベンダーでも充分対応できるので、Iotソリューションは多くあるのですが、それを活用する中小企業の事例が少ない状況でした。AIでは、逆にシステム等が入っている中小企業ではAI活用のシーンが多くありますが、先にお話ししたように、AIソリューションが少ない状況です。その為、経済産業省では、産学官の知見を集めAI人材を育成する「AI学校」を設立するなど、AIシステムン供給を増やそうとしています。このような取組は非常に素晴らしいと思います。今後は、提供されるAIソリューションを活用する中小企業に対しても、減税や補助金などの政策を作って欲しいと思います。


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