中小企業のAI活用 第11章 AI導入のプロセスとポイント

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こんにちは、IT経営コンサルタントの坂田岳史です。

 さて、本blogでは第1章から中小企業の方がAIを活用する時に必要な情報、知識などをお話ししてきました。ここでは、それらを踏まえて特に中小企業がAIを導入・活用する時のプロセスと、そのポイントについてご説明します。

1.経営・業務課題を明らかにする
 AI活用と言っても従来のIT経営と同じで、まずはAIを活用する為の目的、つまり自社の経営・業務課題を明確にする必要があります。経営課題とは、売上・利益の向上を図るもので、業務的課題は効率化(生産性向上)等になります。例えば、小売・サービス業の場合であれば、競合店が出てきたので来客数が減っているので、集客力をつける為に、新商品や新メニューを開発する事が経営課題になります。また、不良率が高く手直しが多い製造業であれば、不良率を低減しコスト削減と生産性向上が業務的課題になります。
 まずは、AIを活用するという目的から入らずに、自社の経営・業務課題を明確にして、
ITやAIで解決できる事を見極める必要があります。尚、自社で見極めが難しい時は、私にご相談ください(笑)。

2.AI化企画書を作る
 さて、経営・業務課題が明確になったら、それをAIで解決する為のAI化企画書作成しましょう。ここでは、企画書の目次と概要を示します。

①AI活用の目的
 経営・業務的課題を解決する内容を記述します。ここがAI活用の出発点になります。
 例えば、不良率低減によるコスト削減と生産性向上を図る場合、その内容がAI活用の目
的になります。

②AI活用の業務内容
 課題を解決する為に改革・改善する業務の内容を記述します。不良率低減が目的であれ
ば、製造・加工を行う業務内容とAIの活用方法などを記述します。

③AIで期待する効果
 AIは従来の業務システムのように、入力による出力が正解になりません。不良予測をするAIを導入した場合、AIが不良確率高いと回答した案件が、必ず不良になるとは限らないのです。これを踏まえて、AIの効果を予測する事が必要です。現在不良率5%であれば、
目標は2%以下として、AI以外にも業務改善による効果も加味した相乗効果を目標達成を企画する必要があります。

④AI活用時の業務改革・改善内容
 AIシステムを導入する事で、従来の業務フローや内容がどのように変わるかを予め検討して、AIシステムを活用した新規の業務フローや内容を定義します。

⑤AI導入・活用の自社体制
 個別業務の改善にAIを活用するなら、担当者を明確に決めるだけでもいいですが、経営改革にAIを活用するのであれば、まずは経営改革を実行する為の全社的プロジェクトを立ち上げて、その中にAI導入と活用の責任者や担当者等の体制を作る必要があります。

⑥AI導入スケジュール
 第9章でお話ししましたが、AIでは概念検証(POC)フェーズがあります。これは、データ量や精度によって検証期間が変わります。また、検証の結果、現在のデータでは上手くAIの学習モデルが構築できないかもしれません。その為、精度が高いスケジュールを予め設定するのは難しいでしょう。と言って、無制限に検証を行い事もできません。まずは3カ月程度の概念検証期間を設定して、検証中にスケジュールを変更する事も必要です。

3.要件定義とシステム実装
 概念検証で上手く学習モデルが構築できれば、システムを活用するUI(ユーザーインターフェース)を設計します(第10章参照)。設計と言いましたが、企業が自ら設計するのではなく、AIシステムを開発するベンダーのSEが設計します。ここでは、SEが設計できる情報(自社の要求)を要件定義書にまとめる事になります。それを基に、ITベンダーが開発・実装を行います。

4.運用と継続学習
 AIシステムの実装が完了したら、いよいよ運用に入る訳ですが、ここで重要な事はAIの継続学習です。概念検証で学習モデルを構築しましたが、運用する事で新たなデータが発生します。このデータを再度AIに学習させ、より精度を上げていくいのです。京都大学を目指す受験生が受験勉強して合格した後も、大学でより高度な学習や実習、研究を行い高い専門性を身に着ける事と同じです。継続学習によりAIは、より精度が高い回答を出す事ができるのです。

 さて、ここまでAIシステムを導入・活用する為のプロセスとそのポイントをお話ししました。基本的には従来のIT(業務システム)と大きく変わりません。変わる箇所は概念検証フェーズがある事と、継続学習する事です。ただ、この2点が非常に重要になります。
これも踏まえ、このプロセスを実行する為には、いくつかの課題があります。それは次章でお話しします。

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