RFPとは RFP(システム発注書)の深さについて RFP講座 その2

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前回の「RFPを知る!」では、RFPの意義や概要についてお話しました。
今回は、RFPの深さについて、お話したいと思います。RFPは、自社に必要なシステムの要求仕様を記述します。ここで知って頂きたい事は、RFPはそれを受け取ったITベンダーから、「システム提案書」を貰うためのものなのです。単に自社の要求をまとめるだけでなく、作成したRFPをシステムを開発するITベンダーに渡して、そのベンダーからシステム提案を貰うためにRFPを作ると言っても過言ではないでしょう。
つまり、ITベンダーに対して、「うちの会社は、システムを使ってこのような事がしたいのです」という要求を出して、それなら、このようなシステムにされたらどうですか?という提案を貰う訳です。

例えば、食堂に入って、「今日はスポーツして、お腹ぺこぺこなので、なにか美味しくてボリュームのあるものが食べたい」と言うと(要求)、ご主人が、「それじゃ、トンカツ定食の大盛りはいかが?」(提案)と言うのと似ています。ただし、最初から「肉類は嫌いだからいやだ」と言うとご主人はトンカツ定食を提案できません。さらに、「肉も魚も嫌いだ」というと、提案する食事の内容が大きく制限されます。逆に、なんでもいいからお腹ふくれるものがいいと言うと、ご主人はいろいろ提案内容を考える事ができます。

実は、このようにRFP内に制限を付けると、ITベンダーの提案も制限されるのです。例えば、「開発言語はC言語を使うこと」と記述すると、当然それ以外の開発言語は使えません。また、システム形態は「クラウド形態以外を希望」と記述すると、当然ながらインターネットを活用したクラウド形態は提案できません。逆に、「開発言語は、ベンダー特有のものでなくオープンなものを使う事」、「システム形態は、運用専任者がいなくても運用可能な形態にすること」と記述すると、ITベンダーはその企業にあった開発言語やシステム形態を独自に考えて提案する事ができます。

このように、RFPに深く要求を記述する(制限を多くする)と提案の幅が狭まり、RFPの要求を浅くする(制限を多くつけない)と、提案の幅が広がります。

これは、どちが良い悪いというのではありません。自社にITに詳しい人材がおり、予めシステム形態などを決めることができれば、RFPを深く記述してもいいですが、特に中小企業ではITに詳しい人材がいないケースが多いため、RFPを浅く記述してITベンダーからの提案の幅を広げた方がいいと、私は思います。

このように、RFPと一言で言ってもそれには深さがあり、この深さをうまく調整する事が、システム調達する時のポイントになるのです。

IT経営コンサルタント 坂田岳史
RFP作成コンサルティングンのご案内

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